比類なき伝説の女性 二ノン・ド・ランクロ

December 23, 2017, 1:20 am

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ー現代の我々が驚くのは二ノンの人生の自由さ。

ニノン ド ランクロ の職業は高級娼婦。  

でもその辺りの娼婦とは違います。二ノンの本名はアンヌ・ド・ランクロといい、由緒正しい貴族の家に生まれました。

（二ノン・ド・ランクロ  1620〜1705）

父親はトゥレーヌの貴族。母親もオルレアンの貴族出身でした

なぜ貴族のお嬢さまが高級娼婦などと呼ばれるようになってしまったのでしょうか？

アンヌが１５歳の時（20歳という説も）に両親が他界し、アンヌは孤児になってしまいます

しかし父親は遺産として７、８千リーブルの年金を残したのでどうにか暮らしていける程度のお金はありました。

アンヌはこの父親の遺産のおかげで自由にいきることができたのです。

この安定した収入のおかげアンヌは他の高級娼婦とは違い相手を自由に選べる立場になりました。

アンヌはこの一定の財産をもとに、名前を二ノン・ド・ランクロと改め、多くの恋人を持ちはじめました。

（宰相  リシュリュー枢機卿）

時の権力者リシュリュー枢機卿が二ノンを愛人にしようと莫大なお金を積みましたが、相手にしなかったのは、こうした二ノンの経済的な安定があったからです。

彼女の取り巻きの中にはコリニー、ヴィラルソー、大コンデ公、ラ・ロショフーコー、デストレ元帥、グールヴィル財務官、パリュオー元帥、ランブイエ侯爵、ブランカ伯爵などフランスの大物ばかりでした

（名門貴族で箴言集で有名なラ・ロショフーコー）

しかし二ノンは一度に二人以上の男性を愛することはありませんでした。

（二ノンの恋人の一人、コンデ公爵）

二ノンはその時々の恋人たちを量ではなく、〝質″  で選ぶ二ノン独自の美学を持つことができました。

二ノン・ド・ランクロの伝説の中でも圧倒的なのは、二ノンの教養と機知とひらめきが同時代の文人や芸術家を惹きつけ、そのサロンが当代一となったことでしょう。

（劇作家モリエール）

二ノンのサロンには劇作家モリエール、ラ・フォンテーヌなど超一流の人物ばかりです。

さらに二ノンが死去した際にサン＝シモンはしんみりこう回想しています。

二ノンは頭がよく、教養があり、エレガントで、自分のサロンに出入りする大物たちを時に仲直りさせ、時には友人同士にし、二ノンの屋敷では何事も敬意と上品さを持って行われ王家の姫君たちでさえこのように大物たちをまとめることはできないだろう、

と感想が残されています。

その他、二ノンは５０代になっても６０代になっても若さを保ち、男性たちから言い寄られ、相変わらずモテモテだったようです。。。 

二ノンの容姿については極上の美人とは申しかねる、との意見もあるが単なる美しさより優れたもの、いわば優雅な趣きがあった。

二ノンが〝美しくても優雅でなければ餌のついていない釣り針のようである〟と語ったように、二ノンは汲めどもつきぬ機知の泉であった。

（一番長く続いた恋人ヴィラルソー侯爵）

打てば響く才知に巧みなリュート、サラバンドにかけては並ぶ者のない踊り手であった。

このルイ１３世の時代にこんなに自由に生きられた女性はあまりいないように思います。

（マントノン夫人）

さらに若き頃のマントノン夫人（ルイ１４世の秘密の王妃）も二ノンのサロンに出入りし、二ノンの恋人ヴィラルソー侯爵と恋仲になりました

(マントノン侯爵夫人フランソワーズ・ドービニェは、フランス王ルイ１４世の妻。貴賤結婚であったため王妃ではない。最初の結婚でスカロン夫人と呼ばれ、宮廷に上がってからマントノン夫人と呼ばれた。フランソワーズと王の結婚は秘密結婚のままであった。)

ラ・フェール侯爵という貴族が二ノン・ド・ランクロと会った時の感想が残っています。

『私はランクロ嬢のその美貌の絶頂期に目にしたことはない。だが、５０歳でも、いや７０歳を超えてもなお、彼女はあまたの愛人を持ち、そのいずれからも崇拝されていた。』

二ノンが７９歳になった時でさえ、ジュドワーヌという若い僧侶から恋されていたとか

しかし二ノンは何ヶ月も焦らしていよいよ願いを叶えてあげました。その際になぜこれほど待たせたのか、と聞くと８０歳の記録を作りたかったから

だったとか。

美しく、頭がよく、安定した資産があり
エレガントで話していて楽しい女性。

女性が自由に生きるにはある程度の資産が必要だと思い知らされます

この男性に頼らない、一生結婚せず恋だけを楽しむ姿勢を貫き通した二ノン。

二ノンは同性をも魅了しました。

１６５２年頃二ノンはフォーブル・サン＝ジェルマンに住んでいたが、マドロネット娼婦獄へと送られる羽目になった

二ノンはマザラン枢機卿の計らいでベネディクト会の修道院で謹慎することになった。

（スウェーデンのクリスティーナ女王）

ある日スウェーデンのクリスティーナ女王が二ノンの噂を聞きつけて修道院にやってきた。クリスティーナ女王は二ノンに魅了され一緒にイタリア旅行に誘った。

（二ノン的な生き方はフェミニストサイドからなかなか評判もよいそう）

二ノンの比類なき生き方をヒントに、気品ある色香や上質の会話術などをバランスよく身につけ、人生をとことん幸せに豊かに生きる技術を手に入れてはどうでしょうか？

そして培われた知性からやってくるユーモアやエスプリに富んだ会話術ができることは恋の必須科目でした。

さらに二ノンは音楽の才能だけでなく料理の才能まであり、二ノンが発明したリンゴタルトが現在も残っています。

二ノン的な生き方は年をひとつとるごとに魅力と色香をひとつずつ獲得すること。

さらに二ノンはいくつかの名言まで残しました。

そして二ノンは１７０５年１０月１７日に３日間患った後、８５歳の生涯を閉じました。

サン＝シモン公爵は、

『二ノンは前代未聞の不徳の勝利の見本である。だがこの不徳は機知に導かれ、美徳に補われていた。

会話は思いやり深く行き届いていて秘めやかでしかもどこまでも誠実であった。彼女は徳高く誠意に満ちた人間といって差し支えないだろう。』

と語った。

二ノンの遺言により彼女の公証人の息子に二千フランを贈った。二ノンはこの少年の才気を愛した。

この１２歳の少年は姓はアルエといい、後の哲学者ヴォルテールであった。

二ノンが生きた時代のファッション

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マリオン・ド・ロルム 好色女の一生

January 21, 2018, 3:03 am

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マリオン・ド・ロルムは、１６１３年名門貴族ジャン・ド・ロンの5女として生まれました。

マリオン・ド・ロルムはニノン・ド・ランクロと同時期に活躍したクルティザンヌです。

ニノンド比べるといささか見劣りがするといわれるマリオンですが、どのような女性だったのでしょうか？

マリオンは、１２人の子供達の中で最も美しい少女に成長しました

美しく成長した娘を見て、マリオンの両親は宮廷での出世を願い、マリオンに家庭教師をつけて教養を身につけさせようとします。

しかしマリオンの家庭教師として雇われたジャック・デ・バローは、放蕩者で美少女のマリオンをみて、激しくいいより、遂にマリオンは根負けし、未婚の身ながら、デ・バローに処女を捧げました。

マリオンとデ・バローはフォーブル・サン＝ジェルマンに一軒家を借りて心を込めて愛しあいました

やがてマリオンはデ・バローと別れ、もっと金持ちで地位もある美男子に乗り替えていきました。

こうしてマリオンは、ニノン・ド・ランクロと同じく高級娼婦となり、大金持ちや大貴族をパトロンとし、自由な生活を送るようになります

その頃のフランス国王はルイ13世でルイ13世は絶世の美少年だったサン・マール公を寵愛し、主馬頭にまで出世させていました。


（美青年だったサン・マール公）

しかしルイ13世から深い寵愛を受けていたサン・マール公ですが、絶世の美女マリオン・ド・ロルムの恋人になります。

サン・マールとマリオンの噂を聞いたルイ13世は大変落ち込み、それを心配した宰相リシュリューは一計を案じます

なんとリシュリューは美女マリオンを自分の愛人とし、サン・マール公はマリオンに捨てられます。

宰相リシュリューを恨んだサン・マールは陰謀を企て失敗し、すぐ処刑されてしまいます。

（戦いにでるリシュリュー枢機卿）

しかしその頃リシュリューもまた、病気がちですでに死相がでていました。

リシュリュー枢機卿は浸蝕性潰瘍を患い、また眼精疲労と頭痛にひどく悩まされており、他の多くの疾患も抱えていた。担架に乗って戦場で軍隊の指揮を執っていた

死期が近いと悟った彼は、最も信頼する腹心はそして信頼するマザラン枢機卿に後を任せ、その後すぐ亡くなりました。



その後のマリオンですが、年を取り進みながら変わらぬ美しさを保っていました

かかりつけの医師であるキエはマリオンの体を今まで診た中で最も美しい体だったと話しています

マリオンは次々恋人を変えながらも、いつでも今の恋人が1番好きだと信じていた、と言われています

マリオンは、３、４回身籠った形跡があるらしいのですが、最初の恋人デ・バローから堕胎の方法を教えてもらい、私生児を産まずにすんだと言われています。。

根っから結婚生活に向かない美女だったのでしょうか？

しかしながら、自我を貫き自由な人生を楽しんだ女性のようです。

マリオン・ド・ロルムが二ノン・ド・ランクロ同様有名だったのは、後の高級娼婦たちとは違い由緒正しい貴族の血を引いていたからでした。

またパトロンたちの選択はマリオン自身の完全な自由選択

しかしマリオン３９歳の時またも身ごもり、堕ろそうとしてアンチモニーの薬剤を大量に服薬した。これがマリオンの命取りとなった。

ほんの２、３日死の床についた間に１０回も懺悔した。

死してもなおマリオンは美しく２４時間ベッドの上に安置させられ〝乙女の冠を被せられて〟人目に晒された。

（リュートをひくマリオン・ド・ロルム）

200年後ヴィクトル・ユーゴーによって注目を集めます。

ジュリエット・ベルナール 天使か？悪魔か

January 27, 2018, 4:42 am

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（ジュリエット・ベルナール。ジェラール画）
 

 

フランス、ナポレオンの第一執政時代、パリ社交界の華として一世を風靡したジュリエット・ベルナール。

 

 

 

さらにフランス美人の代表的存在とされ、世界の歴史の中でも最も美しい女性

 

そのジュリエットの清楚で慎ましやかな美しさは多くの男性を魅了しました。

スウェーデン国王ベルナドットはレカミエ夫人の美しさを

“その美しさと優雅さはヴィーナス神にも比すべきもので、あたかもオリンポスの山上から下界へと降り立ったような女性”

と書き残している。

 

 

 

 

最も有名なのがフランス皇帝ナポレオン。そしてスウェーデン王カール１４世、プロイセン王子アウグスト、ナポレオンの弟リュシアン、作家シャトーブリアンなどそうそうたる面々がジュリエットの美しさの虜になった。

 

ジュリエットの人物像について一致しているのは、彼女が絶世の美女だったということ。   

そしてジュリエットはどうもかなり頑固な性格だったようです

さらにジュリエットの養女によると、

『しなやかで優雅な体つき。形がよく均整のとれた首と肩、深紅の小さな唇、真珠のような歯、ほっそりとした魅力的な腕。自然にカールした栗色の髪、繊細に整ったフランス的な鼻、比類なき肌の輝き。。』

美しきジュリエットは真実の愛を求めた女性だった。

その結果彼女は歴史に名を残すことになります。

 

 

 

１７７７年リヨンで生まれたジュリエット・ベルナール。

ジュリエットの母親はリヨン一の美人と言われたが、その娘であるジュリエットは外を歩くだけで人が集まってしまうほどの美少女でした

 

１７９３年、ジュリエットはわずか１５歳で３０歳も年上のジャック・レカミエと結婚。

 

ジュリエットと夫レカミエとの間には夫婦関係はなかったと言われています。

 

実はジャック・レカミエはジュリエットの母の愛人でジュリエットにとって実の父。 

 

やり手の母親がフランス革命の混乱期のため、ジャック・レカミエの財産を正当にジュリエットへと相続させるために結婚させた、と言われています。

 

 

 

 

なんともややこしい関係ですがらこれほどまでに２人の結婚生活が人々の注目を集めたのはジュリエットがそれだけ美しかったからでした

 

時の皇帝ナポレオン妹ポーリーヌでさえジュリエットに憧れていたとされています。

 

（ダヴィッドの描いた長椅子に座るジュリエット。ルーブル美術館所蔵）

 

 

ジュリエットがパリで開いたサロンには一流の文化人が集まる文化的意義をもった最後のサロンとまでいわれました。

（若き日の皇帝ナポレオン。パリ、カルナヴァレ美術館）

ジュリエットは白いドレスを好み、いつも身につけるアクセサリーは真珠で、真珠以外身につけませんでした

 

ジュリエットの清楚な美貌と優雅なものごし、何より相手を夢中にさせる天使のような微笑みで男たちを虜にしましたが、ジュリエットは聡明で意志の強い女性だったので、決して誰とも一線を越えようとはしませんでした。

 

 白い服しか着なかったり、一線は越えないけど媚態を凝らして胸も露わなポーズの肖像画を恋人に贈ったりするジュリエット

 

 

 

 

ジュリエットの魅力を作家シャトーブリアンは、「彼女には処女と愛人との奇妙な魅力が入り混じっている」

と評しました。

 

 

（プロイセン王子アウグスト）

 

ジュリエットは２３歳のとき、夫レカミエと離婚し、プロイセン王子アウグストと結婚しようとしますが夫は離婚を受け入れず、2人は別れることになりました

 

その時自分を忘れないで欲しい、とジュリエットがアウグストに送ったのが、現在はフランス、カルナヴァレ美術館にあるこのジェラールの描いた下の絵です

 

（ジェラール画。パリ、カルナヴァレ美術館）

 

ナポレオンがフランス皇帝になると、ジュリエットに恋したナポレオンが権力を使って愛人になるように迫ってきました

 

 

 

（ジュリエットに恋した皇帝ナポレオン）

 

 

夫レカミエの銀行はフランスから融資を受けていたので、ナポレオンの求愛を拒否した結果、レカミエの銀行は破産。

ジュリエットはパリ追放処分になってしまいます

 

 

 

 

フランスを追放されたジュリエットはローマ、ナポリに向かい、最終的にはスイスのコペへ行きました。

ここに反ナポレオンの友人スタール夫人がいたからでした

 

（ジュリエットの親友、スタール夫人）

 

 

そしてジュリエットに転機が訪れる。。

 

親友スタール夫人の紹介で出会った５０歳の天才作家シャトーブリアンと恋に落ちます。

 

（ジュリエットとの愛を貫いたシャトーブリアン）

 

 

１８１８年ジュリエットはなんと４１歳にして初めて肉体的な一線を越え、女性としての喜びを味わいました。

 

 

 

それから３０年間にわたり、２人の愛は続きました。

 

やがてジュリエットは全財産を失い、さらに白内障になり、目が見えなくなってしまいますが、互いにいたわり合いシャトーブリアンが死ぬそのときまでずっとそばに寄り添い、真実の愛を貫きました。

 

 

 

シャトーブリアンが死んだ翌年、ジュリエットも静かに世を去った。

 

 （帝政時代のファッション）

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破滅の天才詩人プーシキンの妻 ナターリア

December 3, 2017, 11:58 pm

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（プーシキンの妻  ナターリア・ゴンチャロワ）

とてつもない矛盾を孕んだ国、ロシア。

 

この広大な国は温厚な優しさと執念深い残忍さ、中世さながらの迷信めいた信仰心と豪華で放埓な華やかさが同時に存在している摩訶不思議な国。

 

 

ロシア貴族は光り輝く巨大なダイヤモンドをつけながら、ロシア貴族たちの半数が文字を満足に書けず、三分の一の人々は読むのでさえ困難だった。

 

 

さらにフランスコンプレックスのあるロシア貴族たちは、驚くべきことにロシア語よりもフランス語を得意とした。

 

（大尉の娘、オネーギンなど名作を生み出したプーシキン）
 

 

ロシア文学にはじめて作品の中に口語を取り入れ、ロシア文学の発展に多大なる影響を与えた、天才詩人アレクサンドル・プーシキン

 

１７９９年ロシアの由緒ある貴族の家に生まれたプーシキン。

 

破滅型の天才にありがちな変わった所のある彼は、情熱的で決闘好きでプレイボーイでした

 

 

 

 

 

時のロシア皇帝はニコライ１世。

（ロシア皇帝ニコライ１世）

ニコライ１世は政治家としては冷徹な専制主義者であり、あらゆる変革の試みに対し、軍人らしい保守性と厳格さで徹底して認めようとしなかった。

プーシキンの作品が次第に政治色を帯びてくると、プーシキンの存在は危険視され、政府の監視のもと、窮屈な生活を余儀なくされます

 

 

さらにニコライ１世の秘密警察ベンケンドルフ長官の監視下に置かれてしまいます

 

 

 

 

 

 

 

恋多き天才詩人プーシキンは２９歳の時、宮中舞踏会に現れた、まだ初々しい１６歳の美少女ナターリア・ゴンチャロワに一目惚れします

 

 

 

 

ナターリアはその稀有な人目をひく美貌でモスクワ中の男達から恋い焦がれられていました

 

 

 

 

モスクワ一の美女として有名になったナターリアに求婚したプーシキンですが、ナターリアの母親は結婚の承諾をたいそう渋り、出会いから２年たったナターリア１８歳の時二人は結婚しました。

 

 

 

 

 

プーシキンとナターリアの間には４人の子供が生まれ、幸福な結婚生活を一見送っているように見えました。

 

 

 

 

しかし天才とは幸福な結婚生活とは相容れないものなのか、１８３５年ナターリアはフランスから移住してきたフランス人青年将校ジョルジュ・ダンテスに言い寄られます。

 

 

 

 

 

この噂は広まり社交界でスキャンダルを起こしてしまいます。。

 

 

 

 

というのも、ナターリアとジョルジュ・ダンテスは同じ１８１２年生まれ、２３歳の美男美女同士。

人目をひかないわけがありません。

 １３歳年上の夫と美青年ダンテスの間で道ならぬ恋に揺れるナターリア

 

 

スキャンダルを抑えるべく、ジョルジュ・ダンテスはナターリアの姉エカテリーナと結婚します

 

（ナターリアの姉でジョルジュ・ダンテスの妻になったエカテリーナ。）

エカテリーナは美しさでは妹ナターリアに太刀打ちできませんでしたがダンテスとの間に４人の子を授かりました

 

 

 

 

その後もナターリアへの愛は変わらず、この奇妙な関係に業を煮やしたプーシキンは、ジョルジュ・ダンテスに決闘を申し込みます。

 

 

 

 

１８３７年、ペテルブルク郊外で決闘が行われ、プーシキンは右腹部に致命傷を受けて倒れ、２日間苦しみ抜いた挙句に死去。

 

決闘は禁じられていたため、ジョルジュ・ダンテスは逮捕されるもニコライ１世により特赦され、母国フランスへ妻エカテリーナと共に帰り、第二帝政期には元老院議員にまで出世

 

（ジョルジュ・ダンテス、ナターリアの姉エカテリーナと結婚）

 

プーシキンの死は謎に包まれ、ニコライ１世による秘密警察の陰謀ではないかと囁かれました。

 

 

 

 

当の絶世の美女ナターリアは夫プーシキンの死後、ニコライ１世と親しくなり、皇帝の新たな愛妾になった、と噂されました。

 

 

 

しかしナターリアは結局兄弟と同じ連隊に属する士官ピョートル・ランスコイと出会い、１８４４年、皇帝に祝福され結婚。

 

（２番目の夫ランスコイとの結婚で幸福な生活を手に入れたナターリア）

 

夫ランスコイはニコライ１世からも目をかけられ、順調に出世し、ナターリアはランスコイの子供を２人産んで、平凡で落ち着いた幸せな結婚生活を送りました

現在、決闘のあった場所には記念碑が立っています

またプーシキンは決闘によって死ぬ以前、強運の持ち主として知られ、数多くの決闘で、自分は一切撃たず、相手に撃たせ、いずれも弾が外れ、当然の如く笑って済ませていたという逸話がいくつかある。

 

 

 

 

 

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したたかな計算と誓われた愛 疑惑の伯爵夫人フランセス

February 7, 2018, 8:26 pm

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ー悪魔に魂を売り渡しても女として幸せになりたいと、愛する人と結ばれたいと私の魂は叫んでいる。

スチュワート朝誕生直後、世間を騒がせた殺人事件がある。

その犯人はイングランド一の名門貴族の令嬢だった。

１６１６年５月２４日名門貴族ハワード家の令嬢フランセスが殺人の罪で裁判にかけられた。

ハワード家の発祥は１０世紀に始まり、一族からヘンリー８世妃キャサリン・ハワードも輩出した。

（ヘンリー8世妃  キャサリン・ハワード しかし後に斬首刑に）

その血筋は現代まで受け継がれている。

当時２５歳のフランセスは絶世の美女と喧伝された。

（サマセット伯爵夫人フランセス ・ハワード1590〜1623）

フランセスは１５９０年、裕福な有力貴族トマス・ハワードの娘として生まれる。

フランセスは１３歳で一つ年上のロバート・デヴルーと政略結婚させられた。

しかしこの結婚は白い結婚だった。

年少の妊娠は害になるという考えから同衾させられずフランセスは結婚式の後再び実家に帰った

（フランセスの夫となったロバート・デヴルー）

夫となったロバートはヨーロッパ大陸を旅行してまわり、２年後にイングランドに帰国した。 

この間にフランセスはイングランドの皇太子ヘンリー王子の愛人になっていた！

（美男で優秀だったイギリス皇太子ヘンリーもフランセスと恋仲に）

夫が１６０９年に帰国するとロバートとフランセスは一緒に住み始めますが、フランセスは徹底的に夫を避け、絶対に寝室にいれようとしなかった

フランセスが夫を避けた理由の一つとして、夫ロバートは天然痘の痕が生々しく醜い容ぼうを嫌った、とされている。

フランセスはさらにサマセット伯爵ロバート・カーと恋仲になっていた。 

ジェームズ１世の寵臣でもあるロバート・カーはスコットランドの紳士階級出身だった。

（サマセット伯爵ロバート・カー）

フランセスはロバートと結婚したいため、醜い夫との離婚を考え始めた。  

フランセスは夫が性的不能のため夫婦関係がなかったとして結婚無効を申し立てた。しかしこれには夫も妻の告白は嘘だと反論

イギリス中が裁判の行方に耳をそばだてた。証人が次々と登場し、世間を騒がすスキャンダルとなった。

そのうちサマセット伯爵ロバートの友人、トマス・オーヴァーベリー卿はフランセスとの結婚を諦めるように強く説得した。

（フランセスに毒殺されたトマス・オーヴァーベリー卿）

その後オーヴァーベリー卿は国王ジェームズ１世によるモスクワ大使の職を拒んだ罪でロンドン塔に投獄。

その４ヶ月後１６１３年９月１４日獄死した。

（ロンドン塔）

結婚無効の裁判は国王ジェームズ１世の介入もあり、裁判はフランセスに有利にすすみ、遂にオーヴァーベリー卿の死後１１日後にフランセスはサマセット伯ロバート・カーと晴れて結婚しサマセット伯爵夫人となった

  

当初獄死したオーヴァーベリー卿は病死とされたが、後に毒殺だったらことが判明。

１６１５年オーヴァーベリー卿の看守だったリチャード・ウェストンが逮捕された。

リチャード・ウェストンはオーヴァーベリー卿に毒入りの菓子のタルトとゼリーを与えたこと、塩化水銀の浣腸剤を渡して死に至らしめたこと、毒殺を指示したのはフランセスだと自白した。   

サマセット伯爵夫妻は裁判にかけられた。裁判が開かれるとウェストミンスター・ホールには野次馬が群がり、席を確保するのに十ポンド（１６万円）や五十ポンド払う者まで現れた。

容疑者とはいえ高位貴族の２人は比較的快適な生活が許され、１６１６年にフランセスは獄中出産をした。

娘はアンと名付けられた。

（獄中で生まれたフランセスの娘、アン）

フランセスの娘アンは母の美貌を受け継ぎ、ベッドフォード伯爵ウィリアム・ラッセル卿に見初められ幸せな結婚を手にした

１６２２年サマセット伯爵夫妻は証拠不十分で釈放された。

釈放後フランセスはチャールズ１世の宮廷にも出仕し、１６３２年８月２２日４２歳で死去した。

ルネサンスの高級娼婦 ベロニカ・フランコ

February 9, 2018, 1:27 am

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夢の都で若さを謳歌する。誇り高いヴェネチアは美しい楽園。そして恋と欲望と美に戯れる女たち。。

（実在した詩人、高級娼婦ベロニカ・フランコ1546年–1591年）

 

 

 

 

 

 

 

 

 

16世紀イタリアでは女性は男性の所有物でした。

貴婦人たちが自由に外に出て才能を発揮できたのは17世紀ころからのこと。宮廷に出仕する女性も少なかった。

 

 

 

 

外出やおしゃれも限られて、一日を子どもの世話や刺繍に青春を費やしていました。
しかし男性は完全に自由。

高級娼婦と舟遊び、楽しんでいます。

 

 

 

 

お話にもどると主人公ベロニカは持参金がなく好きな人（マルコ）と結婚できず→コーティザンになる決意をします。

 

 

 

 

母親に「結婚は契約で国家間の条約と同じよ」「マルコも愛のない結婚をする」「マルコを手に入れる別の方法もある」と提案される。

 

 

 

それは「コーティザン(高級娼婦）」になる事で母親は自身も高級娼婦だったと告白

 

 

 

父親が持参金を浪費し、兄も出世できないからベロニカに家族を支えろという。修道女がまし、というと修道院に連れていくが、あまりの光景に思わず逃げ帰る

 

 

 

当時のイタリアでは貧しい女性に読書や教養人としての道が開かれ、高級娼婦として特権階級の男性とも接触でき、大金をも手にできる唯一の職業

 

優れた教育を受けることや、数多の文学的、芸術的業績を収めることができる。

 

 

 

 

 

愛する男の「愛人」として彼の愛を独占する道しかない。

愛人になるには、まず高級娼婦になる必要がある。ベロニカは高級娼婦になる決意をし、母親はベロニカに

「第一に快楽を与える〝喜び″ を知ること」

 

 

など、手取り足取り高級娼婦としての知識と教養を身に着けさせる。   

 

 

 

「最高の教養をつけなければならない」

と女人禁制の図書館にも連れて行く。

 

 

男性の夢は妖婦、そして近寄りがたいヴィーナスなのだと教える。。

 

 

 

一方親友ベアトリーチェは政略結婚で老人だが、お金持ちで権力のある男性と政略結婚。

そして無事女の子を産み良家の奥様になります。

 

（親友ですでに結婚したベアトリーチェ）
 

そんな時突然親友ベアトリーチェがベロニカの所へ訪ねてきます。。

『お願いがあるの。私の娘をコーティザンにしてほしいの。』

ベロニカ『！？』

『あなたを見ていると自由でうらやましいの。私の娘にその機会はやれないというの？』

ベロニカは、

 

『コーティザンは自由に見えるかもしれないけど年をとったり病気になったりしたら終わりなのよ。嫉妬深い愛人に顔をきられて地獄のようなところに売られた女もいるのよ』

 

 

と諭します。

 

高級娼婦たちの老後は皆悲惨。待っているのは破産と老いだけ。

 

しかし、ベアトリーチェは、

『私の娘は私のように刺繍に青春を費やして、子どもを産み、死ぬときは神様や国家や夫になんか従うんじゃなかったと思うでしょうよ！

たとえ地獄に堕ちてもこの終わりのない生き地獄よりはましですもの！』

 

 

実在したベロニカ・フランコは、上流階級向けの高級娼婦の娘であった。

 

ベロニカは幼い頃、母親から芸術について学んでおり、経済的に恵まれた結婚をするために、自身の生来の素質や能力を使うことを叩き込まれていた。   

 

 

ベロニカは、まだ10代の内に裕福な医者と短期間の間結婚し、子供も生まれたが、結婚生活はうまく行かないまま終わった。

 

彼女は生計を立てるために、裕福な男性を相手にした娼婦となった。

 

 

 

 

 

彼女はすぐに、その当時の主立った著名な名士たちとも交際するような階級にまで上りつめ、フランス国王のアンリ三世と短期間交際することまでしていた。

 

（フランス王アンリ三世）
 

 

ベロニカは２０歳頃、1565年頃出版された、Catalogo de tutte le principal et più honorate cortigiane di Venetiaにおいてヴェネツィアの主要な娼婦の一人として挙げられていた。

 

なんと当時売春で悪名高かったヴェネツィアでは、最も有名な売春婦の名前や住所、料金が記されていた。

 

 

ベロニカは、活躍していた期間の多くを裕福に暮らしていました。

しかし、「ふつうの」女性に自動的に与えられていた庇護がなかったので、ベロニカは努力して自分の人生を切り開いて歩まなければならなかった。

 

 

 

高学歴の女性であったベロニカ・フランコは二巻の詩集を書いた。

 

 

彼女は書簡の本を出版し、他の優れた作家の作品を選集にした。ベロニカの二種類の刊行物は人気を博し、ベロニカはそれで得た収入を高級娼婦やその子供たちのための慈善団体を設立した。 

 

 

 

 

1575年ヴェネツィアの町を破壊したペストが流行している最中、ベロニカ・フランコはヴェネツィアから余儀なく退去させられ、自身の家や所有物が略奪された時に財産の多くを失ってしまった。

 

 

1577年にベロニカがヴェネツィアに戻ってきた時、妖術の罪での宗教裁判に直面して彼女は厳然として自衛を図った。   

 

 

 

 

現存する記録によると、彼女は無罪放免となったとはいえ、財産や富の全てを失ってしまったとある。

しかし、後半生のほとんどよく知られていない。

 

 

 

ついに、ベロニカの最後の主要な後援者が亡くなり、彼女は経済的な支援が絶たれてしまう。

 

 

 

彼女の最期はほとんどの部分がはっきりと分からないが、かなり貧しい中で亡くなったと考えられている。
 

 

 

 

 

優れた教育を受けたことや、数多の文学的、芸術的業績を収めたことを誇る高級娼婦はベロニカ・フランコだけではなかったとはいえ、おそらく彼女は、上流階級向けの売春婦の中で最も人々から誉め称えられた女性でした。

 

 

 

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ダイヤモンドをはじめて身につけた女性 アニエス・ソレル

February 18, 2018, 1:35 am

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（アニエスをモデルにして描かれた、ジャン・ブーケ作ムランの聖母。ベルギー、アントワープ王立美術館）

実はヨーロッパではダイヤモンドは権力の象徴で男性の物でした。

女性ではじめてダイヤモンドを身につけた女性は、アニエス・ソレルという女性です。

彼女がいなければ今私たちはダイヤを身につけられなかったかも笑

 

アニエス・ソレルは、一兵士ジャン・ソレルの娘として生まれました 

 

時のフランス国王、シャルル７世の義弟ナポリ王ルネ・ダンジューの侍女をしていたようです
 

 

 

そして１４４４年のこと、シャルル７世は南仏トゥールーズに滞在していたもとに、ルネ・ダンジューが訪れてきました。

国王は、ルネ・ダンジューを快く迎えいれましたそしてルネ・ダンジューの侍女としてアニエスが同行しておりました


（ダイヤは女の子の親友）

ルネ・ダンジューを迎えいれた時、シャルル７世は、1人の侍女に目を留めました。

その侍女は、白い肌にほっそりした体にブルーの瞳をした絶世の美女でした。

シャルル7世の心臓は止まったようになり、目は驚き、声を出すこともできなくなりました。  

 

気を利かせた側近が、

『アニエス・ソレル嬢です』

と紹介しました。

（一目ぼれですね）


（シャルル7世は実母に疎まれていたせいか無気力な王だったと言われていますが、、この肖像画はルーブル美術館にあります）

 

 

シャルル７世に見初められた時、アニエスは、２２歳か２４歳で成熟した色香も加わり、アニエスの美しさは頂点に達していました。

当時の教皇ピウス三世さえ、

「このような美しい女性が存在するとはとても思えない！」

 

 

と言わしめたほど

アニエスにぞっこんになったシャルル7世は、アニエスにロシュ城というお城をプレゼントしました

 

 

 

さらに公式の場でもアニエスのそばを離れたくないシャルル7世は、考え抜いた挙句に、公式寵姫という存在をうみだしました

 

フランスの伝統である〝公式寵姫”制度は、アニエスに惚れ込んだシャルル7世が始めましたのす

公式寵姫とは名称どおり公式の存在であって外国大使を引見し、宮廷舞踏会を主催する。

王妃を凌駕する権力を持ち、事実上の宮廷の女主人だった。

アニエスは服装・装身具・家具・食事・儀礼などすべての面において最高の待遇を得た。

シャルル7世はアニエスを閣議にまで参加させたという。

（ロワールのお城。アニエスとシャルル7世はロワールで楽しい日々をおくりました）

 

 

 

さらにシャルル７世は、これまで男性のみにつけることを許された権力の象徴だったダイヤモンドを、愛するアニエスにプレゼントします。

（ここまでだと女性冥利に尽きますねぇ）

 

 

アニエスはとてもおしゃれで刺繍をふんだんに施したドレスに黒テンの毛皮を縁取り、腰には金とルビーがついたベルトを巻き、ゆったりしたトレーンをつけたりしており、ときには長さ８メートル❗❗(　 ﾟ ▽ ﾟ ;)になることもありました

 

 

髪を高く結うのも好きで眉をそっていました

こうしたアニエスは心を打つほど気高い姿をしていました


（特に首から肩にかけての線が自慢だったアニエスなので肩出しファッションが流行りました）

 

 

 

 

 

比類なき美貌のアニエスは、また頭脳明晰で、シャルル７世が自分に夢中になりすぎて、イギリスがフランスを狙っているというのに、国王が何もしない、状況に危機を感じます。
 

 

 

政治を疎かにしていることを危惧し、イギリス軍をフランスから追い出させるためにシャルル7世の前でアニエスは一芝居打って戦争に行かせ、見事イギリス軍をフランスから追い出し100年戦争を終結させました。

 

 

（シャルル7世が国王になれたのはジャンヌ・ダルクのおかげです）


妊娠していたアニエスは国王からもらったロシュ城で平和に暮らしていましたが、突然腹部の痛みを訴え出血は止まらず、

１４５０年２月９日火曜日午後６時、美しいアニエスは国王の子どもを身ごもったまま突然この世を去りました。

その心臓は摘出され、ジュミエージュに作らせた墓に葬られた。

そして遺体はロワール河畔のロシュ城に運ばれて、彼女の全身の彫刻をほどこされた暮石の中に安置された。

 

 

この突然の死に毒殺されたとの噂がながれました最近の研究ではアニエスの遺骸の毛髪から多量の水銀が検出されました。


 

 

 

しかし水銀は病気の治療や、化粧品にも入っていましたが、あまりに多量の水銀が発見されたので、故意に必要以上の水銀をアニエスに与えたのではないかといわれています。   

 

 

 

アニエス・ソレルへの愛によって生まれたこの他に類をみないフランスの〝公式寵姫″  制度はそれから約３５０年間、最後の公式寵姫デュ・バリー夫人まで華やかに続きました。

 

 

 

国王の愛人たちは、王妃を差し置き、フランス宮廷の華麗なる花・政治の中心となっていきます。

 

 

 

（フランス最後の公式寵姫、デュ・バリー夫人）

アニェスはシャルルとの間に、マリー、シャルロット、ジャンヌの3女を生んでいます

この３人の娘をアニエスは従姉妹のアントワネット・ド・メニュレに託しました。

やがてアントワネットはシャルル７世の愛人となりますが、アニエスほどの寵愛を得ることはできませんでした。

シャルル７世といえば、ジャンヌ・ダルクを見殺しにしたということで有名。

アニエスはトランプのクィーンの絵柄のモデル説も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に王の心を射止めた女 マントノン夫人フラソワーズ

March 13, 2018, 3:02 am

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ベルサイユに君臨した太陽王ルイ１４世は秘密結婚をしていました。

その相手は貴族でもない庶民出身でありルイ１４世より３歳も年上の女性であった。

それにもかかわらず最強の勝ち組として女道の頂点まで登りつめたこの女性はいったいどういう経歴の持ち主だったのでしょうか？そしてなぜルイ１４世から愛されたのでしょうか？

 

（ベルサイユに君臨した太陽王、ルイ１４世)

１６３５年１１月２７日フランソワーズ・ドービニェ、（後のルイ１４世と秘密結婚する）は殺人、賭博など様々な罪状で収監されているポワトゥー地方二オールの監獄で誕生した

 

 

父親はコンスタンは最初の妻を殺害した前科があり獄中、母親ジャンヌは看守の娘であった。

フランソワーズが４歳の時父親が恩赦となり釈放されると、一攫千金を夢見てカリブ海に浮かぶマルティニーク島に一家で移住しました

（カリブ海に浮かぶマルニティーク島）

しかし現実は厳しく一家は貧困生活を強いられ物乞いをするまでに落ちぶれてしまいます

 

なんとかパリに戻りましたがまもなく父親は客死。兄は溺死、母親も気苦労でやつれはてやがて死亡。

 

１３歳で孤児になったフランソワーズはウルスラ派のカトリックの尼僧院に入れられることになりました。

しかし当時持参金もなく尼僧院入りした少女の運命は過酷なものでした

尼僧院から一生出ることが出来ず、ほとんど下女がわりの修道女として酷使されました

 

我慢の限界まできたフランソワーズは叔母に

『尼僧院での暮らしは死より厳しいのです。』

と助けを求めましたが、叔母は助けてはくれませんでした。

しかしようやくこの時になってフランソワーズは

自分の運命は自分で切り開くしかないと気が付きました

 

尼僧院を脱出したフランソワーズは後見人であったヌイヤン夫人のもとへ逃げ、自分の未来を切り開くためパリへ向いました。

 

１６歳となっていたフランソワーズはマルティニーク島育ちであることから〝西インドの乙女″という触れ込みで社交界へ

 

そこで４２歳のポール・スカロンと出会います。

ポール・スカロンは人気作家でしたが奇病で体が変形し下半身が不自由なため車椅子生活を余儀なくされていました

（フランソワーズの最初の夫。ポール・スカロン）

ポール・スカロンはフランソワーズが貧しく身寄りがなくこのままほっておけば再び尼僧院送りになることを知るとフランソワーズに求婚しました。

出口のない貧窮から脱出するためフランソワーズはこの結婚を承諾し、１６歳と五か月でスカロン夫人となりました。

 

スカロン夫人となったフランソワーズは夫の人脈により当時４０歳となっていたニノン・ド・ランクロと知り合い、可愛がられました

さらに夫スカロンは幼い妻にラテン語やスペイン語、イタリア語を教え、奇形の夫の看病という苦労もあったが知性と人脈作りにおいてフランソワーズに大きな黒字をもたらしました

 

しかし夫スカロンの病は徐々に悪化し２５歳でフランソワーズは未亡人となってしまいます。

（ニノン・ド・ランクロの知り合いのヴィラルソー侯爵と交際していた時のフランソワーズ２７、２８歳ごろ）

（フランソワーズ、２７〜２８歳頃に付き合っていたヴィラルソー侯爵）

再び寡婦年金で過ごす苦しい貧困生活を送ることになったフランソワーズでしたが３０歳の時運命の出会いが訪れます。

それは知人の紹介でであったモンテスパン侯爵夫人です。

（ルイ１４世の寵姫 モンテスパン侯爵夫人大輪の薔薇のように美しい女性でした）

モンテスパン侯爵夫人はフランス王ルイ１４世の公式寵姫としてベルサイユに君臨していました。

モンテスパン侯爵夫人はルイ１４世との間に生まれた６人の私生児たちの面倒をみてくれる家庭教師を探していました。

モンテスパン侯爵夫人に気に入られたフランソワーズは家庭教師としてベルサイユ宮殿に招かれました。

（モンテスパン侯爵夫人とその子供たち）

モンテスパン侯爵夫人は産みっぱなしで全く育児をしなかったので子供たちはフランソワーズを実の親のように慕いました

 

これに目をとめたのがルイ１４世その人です。

優しく子供たちの面倒をみてくれるフランソワーズに敬意をしめし、マントノン城を与えました。

フランソワーズは１６７４年１２月２７日マントノン侯爵夫人となり一国一城の主にまで出世しました。

（マントノンのお城を買い、マントノン侯爵夫人になりました。）

 

しかしフランソワーズの出世はまだまだ続くことになります。

 

なんと今度はルイ１４世本人から愛を打ち明けられたのです

絶対君主であるルイ１４世は当時４５歳。 

 

華麗な恋愛遍歴を送ったルイ１４世は幼いころから苦労続き波乱万丈の人生を送っており、家庭的な安らぎを求めていたのです。

この時モンテスパン侯爵夫人は黒ミサ事件に巻き込まれ、ルイ１４世はモンテスパン侯爵夫人を信用できなくなり、１６９１年にモンテスパン侯爵夫人は宮廷から追放されました。

今度は若く美しいフォンダンジュ嬢に惹かますが、フォンダンジュ嬢は美しいだけで話し相手にはな亥ませんでした。

（ルイ１４世時代のトイレ。ルイ１４世は消化不良のためしょっちゅうお腹を下していたそうです）

健康にも問題を抱え始めていたルイ１４世はひたすら孤独だったのです

ルイ１４世は安心できる話相手を欲していました。

フランソワーズには母性愛があり、謙虚で落ち着きがあり控えめで思いやりがあり、ルイ１４世の疲れた心を癒してくれる存在だった。

 

ルイ１４世はフランソワーズに自分の公式寵姫となるように、と告げるとフランソワーズはなんと、

『正式な結婚以外、私は誰とも結ばれたくありません。』 

となんと王の要求を拒否し、さらにベルサイユ宮殿を去ることを告げた

これに一番驚いたのはルイ１４世本人だった。

何がなんでもフランソワーズをそばにおきたいルイ１４世は王妃が没して二ヵ月後、国王付き司祭や大司教ごく限られた友人立ち合いの下、ベルサイユ宮礼拝堂でフランソワーズと深夜に秘密の結婚式を挙げた。

ルイ１４世は４５歳。フランソワーズは４８歳であった。

 

それから３２年の月日が流れた

１７１５年８月３０日重病の床にあったルイ１４世はフランソワーズに、

『あちらの世界で待っているから、もうこの場を去るように。あなたほど愛した人はいなかった。』

と別れを告げた。

 

ルイ１４世崩御の後フランソワーズはベルサイユ宮殿にほど近いサン＝シール女学院に隠棲し、人々の忘れられた頃８３歳で世を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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カリオストロ伯爵夫人

April 8, 2018, 6:59 am

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世紀の怪人物の末裔を称し、絶世の美貌で男たちを魅了するカリオストロ伯爵夫人。

聖母マリアを思わせる虫も殺さぬ慈愛に満ちた美貌の持ち主とされ、どんな男もイチコロで陥落してしまう妖艶な美女。  

そして何十年、いやもしかして何百年も変わらぬ姿を保ち続ける魔女。

妖しい魅力をもつカリオストロ伯爵夫人とは何者なのでしょうか？ 

カリオストロ伯爵夫人の正体、それは多くの部下を従え、手段を選ばぬ凄腕の女盗賊だったのです❗️

しかもカリオストロ伯爵夫人の出生証明によると確かに１７８８年生まれ。しかしルパンが２０歳の時にカリオストロ伯爵夫人と出会った時は、１８９４年なので、106歳の計算になります(◎_◎;)

１７８８年といえば、フランス革命、王妃の首飾りでスキャンダルになったマリー・アントワネット

カリオストロ伯爵夫人は、マリーアントワネットの首飾り事件でヨーロッパ中を大混乱に陥れた詐欺師カリオストロの娘。

本名ジョセフィーヌ・バルサモ。

そしてアルセーヌ・ルパンの宿敵でもあります。

カリオストロ伯爵夫人は、パリのサロンで奇病を治したり、占いをしたり、１８００年ごろナポレオン一世と会ったときの話をしたりしていましたので、その名声を武器にナポレオン三世の宮廷へも姿をみせるようになります。

ナポレオン三世妃ウージェニーは、カリオストロ伯爵夫人を囲む会を催しました。

（左上の花束を持った女性がフランス皇后ウージェニー）

カリオストロ伯爵夫人のパスポートには確かに、１７８８年７月２９日生まれと書かれており、さらにカリオストロ伯爵夫人は、ナポレオン一世の妃ジョセフィーヌがまだ結婚する前、カリオストロと恋に落ち子供を産んだ、そしてその後はロシアのアレクサンドル一世に引き取られた、というものでした！(◎_◎;)

（ナポレオン一世の最初の妻ジョセフィーヌ。

カリオストロ伯爵夫人の母親？？）

確かに歴史的にもナポレオンと結婚前のジョセフィーヌは奔放で何人もの愛人がおり、最初の夫と離婚後、かなり遊びまくり密かに出産したのでは？という疑惑の期間があります。。

カリオストロ伯爵夫人には写真と肖像画が残っていました。一枚目は、１８１６年の肖像画、 

二枚目は１８４０年の写真

第二帝政期のドレス

そして３枚目は最近パリで撮られたものでした

カリオストロ伯爵夫人は小説の人物なのでイメージですm(_ _)m

三枚の写真には服こそ当時の流行のドレスを着ていますが、顔はすべて同じで同じ筆跡でした！！(◎_◎;)

もちろんきちんとトリックはあります

本人が言うように秘薬をのんでいるから（笑）ではなく、１８７０年の第二帝政末期のナポレオン３世宮廷に出現した「カリオストロ伯爵夫人」と、その娘で２０歳のルパンの前に現れた「カリオストロ伯爵夫人」の瓜二つの母娘二代による「二人一役」トリックでした

そして１７８８年生まれとされる件は初代「カリオストロ伯爵夫人」がでっち上げたものと推測されています。

　クラリスもカリオストロ伯爵夫人との初対面でその優しげな美貌に感銘を受けて「親切な人に違いない」❗️

と思うほど。

彼女は権謀術数を駆使する、美貌の貴婦人で盗賊。      

        

そして永遠に年を取らない謎の美女。

これほど魅惑的な響きのある言葉はあるでしょうか？

〝世界で最も美しい女性〟 リナ・カヴァリエリ

April 13, 2018, 6:21 pm

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（ナターリア・リナ・カヴァリエリ  1874〜1944）

”世界で最も美しい女性〟の名をほしいままにした絶世の美女、リナ・カヴァリエリ。

一流のオペラ歌手でもあり女優。

リナは１８７４年１２月２５日のクリスマス、イタリアのローマ近郊のリエッティで生まれました

しかしリナが１５歳の時両親が他界

リナはカトリックの修道院に送られます。修道院での生活は厳しく、まもなく修道院から脱走。

未来を切り開くため、リナは花の都パリへと向かいました。

パリでリナは歌手になることを決意します。パリでリナは大成功し、さらにリスボンやポルトガルでも公演。

そして１９００年ロシアのプリンス、アレクサンドル・バリアティンスキーと結婚

一人息子をもうけますが後に離婚

リナはやがて〝世界で最も美しい女性〟として評判となり、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場でもデビューを果たしました。

１９１０年にロバート・ウィンスロップと再婚しますが、新婚旅行が終わるまでにはふたりの仲は冷め、２年後には再び離婚

離婚後リナは再びヨーロッパに戻り、革命前のサンクトペテルブルク、ロシア、ウクライナで愛されたスターになりました

リナがオペラで演じたのはラ・ボエーム、椿姫、マノン・レスコー、アドリエンヌ・ルクヴール、タイス、トスカ、カルメンなどなど様々な役を演じました。

１９１３年にはルシエン・ムラトーレと再々婚

リナは４０歳になっても変わらぬ美しさを見せていました。

ステージから引退後、リナはパリで美容サロンを開きました。メイクアップコラムを書いたり、本を出版したり、香水を発売したりしました

１９１５年にリナはイタリアへ行き映画出演をしました。リナは８本の映画に出演し、映画女優としても活躍したのです

リナはパオロ・ダンバルニと４度目の結婚をしました。

第二次世界大戦が始まるとリナはボランティアの看護婦として働きました。

しかし１９４４年２月８日にリナがフィレンツェの自宅にいた時、連合軍の爆撃の襲撃にあい、リナは命を落としました。

アメリカの爆撃が近づいているのに気がついて召使いたちは敷地内の空襲避難所に逃げましたが、リナと夫のパオロはリナど膨大な宝石を避難させようとして、逃げるのが遅れてしまったのです。

リナは６９歳でした。

自分大好きな女スパイ カスティリオーネ伯爵夫人

April 21, 2018, 10:10 pm

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ヴィルジニア・オルドーニは、フランス皇帝ナポレオン三世の愛妾としてとても有名な女性

トスカーナ大公国のフィレンツェにオルドイーニ侯爵の娘として生まれました

フィレンツェではニキアという名前で愛されました

ニキアの美貌は９歳の頃からすでに評判で女として男性を惹きつけたという。

１６歳の時１０歳以上年上の貴族と結婚し、カスティリョーネ伯爵夫人となった。

一児をもうけさらにいっそう妖艶となっていた。

ニキアは１８歳になりました。

美しい女性に成長したニキアに従兄にあたるカヴールはニキアにナポレオン三世を誘惑して欲しいと依頼し、ニキアは夫と子供を捨てて、１８５５年にフランスへ向かい、マチルド皇女の集いに招かれ、カスティリョーネ伯爵夫人の出現はたちまちパリで大変な評判になった。

あちこちのサロンでニキアのことが噂になりました

ナポレオン三世をすぐさま籠絡、ナポレオン三世の愛妾になりました

（女好きで有名なナポレオン三世）

ヴィルジニアのおかげでナポレオン3世とサルデーニャは同盟関係を結ぶことができました。

これによりイタリア王国を建国することができました

ニキアは自分の肉体に自信を持っており、ニキアは乳色をしたその肌を際立せるように黒いシーツにくるまって寝たというし、素晴らしい胸の持ち主だったのでコルセットをつけなかった

ニキアは公然たる寵姫の座に君臨した。

ニキアの頭の中にはルイ１５世の娯楽大臣から影の実力者となったポンパドゥール侯爵夫人が去来していた。

ニキアの分を心得ない自惚れは当然ながら宮廷の人々から顰蹙を買っていた。

別れた夫は、別れ際にきみの最大の友である鏡はいつか最大の敵となるだろうと予言していました。

そしてそれは残酷なまでに現実となりました。

（鏡をのぞみこむヴィルジニア）

ナポレオン3世との関係が続く間、彼女は宮廷の王族らに接触することができた。

ヴィルジニアは『神々しい美』とまでうたわれ、特別美しく生まれた女性にありがちな傲慢さを持ち、

自分で「自分は世界一の美女」と明言する自分勝手な性格でした。

ニキアには自分の足やふくらはぎ、手、肩などを写真にとらせ、それをあちこちのサロンで見せて歩く奇行があった。

自分の肉体にさぞ自信があったのだろう。しかもその写真には臆面もなく自画自賛の言葉が書き添えられていた。

ー生まれにおいて、あたしは最上流階級の人々にひけをとらない。その人たちを凌駕する。あたしは自分の考えでその人たちを評価する。

（ニキアを非難したメッテルニヒ夫人パウリーネ）

メッテルニヒ夫人によれば優しい卵型で瞳は深緑のビロード、小さな鼻は完璧にバランスがとれており、歯は真珠のよう、

だった稀な美貌の持ち主ヴィルジニア

ですがあまりの増長ぶりに宮廷人たちは呆れ果てていた。

ニキアの美しさを認めていたメッテルニヒ夫人は、悪意を込めてニキアを罵倒した。

『あの女は度しがたい馬鹿者ね！』

ヴィルジニアは皇帝と別れた後も富と権力を併せ持つ男たちと次々関係を持ち、政治に口をはさみ始めました。

ヴィルジニアが宮廷にやってくるたびその美しさ、神々しさ、目もくらむドレスが話題になりました。

しかし実際ヴィルジニアとナポレオン三世との関係は実はたったの１年間で終わりました。

ナポレオン三世は、

『ヴィルジニアは確かに美しい。しかし死ぬほど退屈な女だ』

と言ったそうです。

１８７０年に帝政が崩壊した後、ヴィルジニアは歯を一本折った。それからまたしても重いヘアアイロンを落として足の指を折り、その指を切断するはめになった

かつて完璧を誇ったヴィルジニアの美貌に最初の亀裂が入った。

ヴィルジニアはやがて全世界を嫌悪していく。

（美貌が消えていくにつれ、黒ずくめの服しか着なくなったヴィルジニア）

ヴィルジニアはだんだんとエキセントリックになっていき、４０歳の誕生日には住居の壁を黒一色に塗りつぶし、鏡はすべて裏返した。

ヴィルジニアは同性を毛嫌いし、古い男性の友人としか会わなくなっていきました。

そしてときおり全盛期に身につけていた破れかけのかび臭いドレスを持ち出しては、

「わたくしがイタリアを作ったのよ！！！」 

と口走り、失われた美貌と過去の栄光を忘れられずにいました。   

（ヴィルジニアのお墓墓所はパリ20区のペール・ラシェーズ墓地）

ヴィルジニアはヴァンドーム広場のアパルトマンこもり、６２歳で死亡した。

アパルトマンの部屋は完全にゴミ屋敷で遺体は腐乱していました。

ニキアの後釜には外務大臣夫人ヴァレフスカが座った。

彼女の夫アレクサンドル・ヴァレフスキーはナポレオン1世の私生児だった。魅力的で野心的で怜悧なヴァレフスカは２年間もナポレオン３世の寵愛を受けた。しかもその間浮気な皇帝は次々と他の女にも手を出した。

かくも栄華は移ろいゆく メッテルニヒ侯爵夫人パウリーネ

May 5, 2018, 9:51 pm

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ー古き良き時代の残り香

宴の後、女性たちか寝室に引き上げていく。彼女たちの蝋燭の炎に照らされた顔、輝くダイアモンドのきらめき、それらが暗闇に消えて行く時。。

（メッテルニヒ侯爵夫人パウリーネヴィンターハルター作）

メッテルニヒ侯爵夫人パウリーネはパリとウィーンの社交界の花形として知られたオーストリアの外交官夫人。

その魅力と洗練ぶりは多くの人々の称賛の的だった。

メッテルニヒ家はラインラント地方に古くからある伯爵家だった。当時のメッテルニヒ伯爵夫人は頭が良い女性で長男のクレメンスを最も影響力のあるサロンに入れ、マリア・テレジア時代の伝説的な宰相カウニッツの孫娘エレオノーレと結婚させることに成功した。

エレオノーレは外見的魅力に乏しい女性だったが、有名な家柄の出身で社交界に抜群のコネクションを持っており、莫大な財産をメッテルニヒ家にもたらした。

（パウリーネの祖父、美男で有名だったクレメンス・メッテルニヒ）

クレメンス・メッテルニヒはなんといっても美貌だった。

ブロンドの巻き毛にきめ細かい肌、忘れな草のような青い目で若い頃は天使のような美青年だった

さらに頭もよく教養もあったクレメンス・メッテルニヒはモテにモテました

（晩年のメッテルニヒ）

ヨーロッパ大陸の最も美しく才気あふれる女性たちを愛人とし、とてつもない大金持ちであり（妻の持参金のおかげ）そしてたいそうな自信家だった。

（祖父クレメンス・メッテルニヒの愛人で美女で有名だったフォン・ザーガン公爵夫人）

クレメンス・メッテルニヒは外交政策に長けており、皇帝の娘マリー・ルイーズをナポレオンに嫁がせることに成功した。

クレメンス・メッテルニヒと妻エレオノーレ・カウニッツの間には５人の子供をもうけましたが唯一生き残ったのは娘レオンティーネ１人だけだった

このレオンティーネはモーリッツ・シャーンドル伯爵に一目惚れしてしまった

父親であるクレメンス・メッテルニヒは１年間娘がどんなにお願いしても首を縦に振らなかったがついに根負けした

レオンティーネ・メッテルニヒとモーリッツ・シャーンドル伯爵は１８３５年に結婚、翌年１８３６年２月２９日にパウリーネが生まれた。

しかしパウリーネは可愛い子ではなかった

（少女時代のパウリーネ）

口は大きすぎ、眉毛は濃すぎて男のようだった。現代なら個性的な美しさと言われたかもしれないが当時は醜いとされ美人ではなかった。

（パウリーネ・メッテルニヒ＝シャーンドル）

しかしパウリーネの一番の財産は栗色の波打つ髪だった。

また成長してからは〝ヨーロッパで最も完璧な肩の線の持ち主〟という評判を欲しいままにした。

ヴィンターハルターの絵画のとおり、肩をだし、裾をひきずる宮廷服を着てダイアデム（宝石をはめ込んだ冠状頭飾）を飾った頭をしゃきっと上げて、最上級の人から喝采を浴びるために生まれてきた女性となった。

パウリーネは祖父であるクレメンス・メッテルニヒを一番尊敬し、愛していた。

１３歳になった孫娘パウリーネに会話術を教えようとし、祖父の開く社交の夕べに出席することが許されるようになった。

やがてパウリーネは並ぶ物なき会話術を身につけることになる。

１８５６年２０歳のパウリーネは７歳年上の２７歳の叔父リヒャルトと結婚しメッテルニヒ侯爵夫人となった。

パウリーネはナポレオン３世の宮廷に大使夫人としてパリに赴任した。

パウリーネはすぐにパリが大好きになり、

『世界中のどこでも人間は無気力に暮らしているのに、パリだけは人間が生きている』

と日記に記した。

ナポレオン3世妃ウージェニーの朗読係だったド・カレット夫人はパウリーネのことを、

『とても華奢で瘦せぎすといえるくらいで背は中背で襟の大きく開いたデコルテを身に纏い、額にはダイアモンド、誰の目にも明らかな気品、高貴、威厳を備えていた…大使夫人だったが、自分が大国を代表していることを誇りにしていた。』

と回想録で記した。

しかし２３歳のパウリーネは『ベル・レド（美しい醜女）』というあだ名で呼ばれることになった。

メリメはパウリーネのことを『猿のように醜いがよくよく知り合うと誰もがその魅力に取り憑かれてしまう』と書いた。

（フランス皇后ヴージェニー）

さらにパウリーネはイギリス人デザイナー、ウォルトをウージェニー皇后に紹介した。

（ウォルトエリザベート皇后のドレスも手がけた）

ウォルトはまた、初めて生きた人間をモデルとして自身の作品を顧客に披露した人物であり、初めて販売した服に自身のブランドのラベルを縫い付けた人物でもある。

彼の殆どの顧客は、それまでの時代とは違って、彼の店を訪れて試着・仮縫いや商談をした。そのため、彼の店は一種の社交場となった。

メッテルニヒ夫妻は皇帝夫妻が毎年催すことになっていた四大宮廷舞踏会に出席するようになった

やがてパウリーネ抜きのパーティは考えられない、パウリーネの想像力は社交界に生気を吹き込んだ、と絶賛された。

人々はパウリーネを〝妖精〟とか〝女魔法使い〟とか〝皇帝の街パリの女王〟と呼んだ。

パウリーネの並ぶものない会話術に対して、

『パウリーネの間のもたせ方は芸術品だった。会話を始めるとパウリーネ自身も変身するし、話し相手の私たちをも変身させた』

と絶賛した。

６１歳になったパウリーネはどんどん耳が遠くなり苦しんだ。

この頃パウリーネは家を建てたがそれはウィーン風ではなく人生の最盛期を過ごしたパリの思い出を残したフランス風の家だった。

第一世界大戦後パウリーネは身をもって貧困を学んだ。

実質的な収入がなくなってしまったのだ。

恥をしのんで少しずつパウリーネの家の貴重な調度品を売っていった。

１９２０年パウリーネが一番好きだった女友達、かつてのフランス皇后ウージェニーが白内障の手術がもとで９４歳で亡くなった。

１９２１年９月２１日パウリーネは突如脱力状態に陥った。９月２８日ウィーンでパウリーネは眠りながら死を迎えた。

晩年パウリーネはオーストリア帝国とフランス帝国の栄枯盛衰を間近に見届けた女性としてこの消滅してしまった二帝国の象徴となった。

ベル・エポックの女王 リアーヌ・ド・プージィ

May 27, 2018, 2:34 am

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優雅でなくては人生ではないーサミュエル・ジョンソン

１９世紀末ーベル・エポック華やかなりしパリ。

ひとりのクルティザンヌが２０年もの間、半社交界の女王として君臨した。

その女性の名前は、リアーヌ・ド・プージィ。

リアーヌは自分の肉体を法外な値で売りつけたが決してその心と魂は売りはしなかった。

さらに４１歳でルーマニアのギガ大公と結婚し、本物の大公妃（プリンセス）となりヨーロッパの多くの貴族と縁続きになった。

リアーヌは１８６９年７日２日にフランスのラ・フレーシュでアンヌ・マリー・シャッセーニュとして生まれた

リアーヌの父親は軍人であり、兄も軍人。厳格な保守的な家庭だった

（リアーヌの父親。父親も兄も軍人だった）

家は貧しくアンヌ・マリーは９歳で聖アンナ修道院に入学

この修道院では学業が奨励されており、アンヌ・マリーはここで外国語、歴史、会話術など後のクルティザンヌとしての教養と品格を身につけるようになる。

（幼少期のリアーヌ）

アンヌ・マリーはこの会話術を完璧に駆使して皇太子や国王の寵愛を得ることになるのである。

１６歳で聖アンナ修道院を卒業すると軍人の娘であるアンヌ・マリーはやはり軍人となかば強制的に結婚させられた

（少女時代のリアーヌ）

夫となったアルマン・プルプはアンヌ・マリーを手荒に扱いDVをおこなった。アンヌ・マリーは〝強姦されるように処女を失った〟と書いている。

翌年には妊娠、息子を出産。

しかしアンヌ・マリー自身は女の子を望んでいたし、さらに彼女は母性本能などは持ち合わせてはいなかった

出産後夫はマルセイユに転勤となった。当時のマルセイユは賑やかな港町で「東洋の門」と呼ばれ異国情緒と刺激に溢れていた。

この人生や未知のものの呼び声はやがてアンヌ・マリーの貞操観念を凌ぐようになった。

プルプ夫人となったアンヌ・マリーはこの町で初めて夫を裏切り、海軍将校クロノン大尉を愛人にした。

しかし夫はベッドにいる２人の現場を押さえられ、さらに夫はアンヌ・マリーに向かって拳銃を発射した。弾丸はアンヌ・マリーのお尻に当たった。

これをきっかけにふたりは離婚した。１８８９年からアンヌ・マリーは法律上、自由の身になったのだ

アンヌ・マリーはこのチャンスを逃さず、息子を両親に預けて、わずか４００フランだけを持って自由と贅沢を求めてパリの街へと降り立った。

その時彼女はちょうど２０歳だった。

１９世紀末当時のパリは真に世界の都だった。

アンヌ・マリーは若さと美貌と知性を武器にパリのクルティザンヌを目指した。

当時パリにいる娼婦は８万人。しかしクルティザンヌと呼ばれる高級娼婦はわずか４０人ほどだった。

金持ちのパトロンに囲われ豪奢な生活を送るクルティザンヌたちは娼婦たちの羨望の的だった

アンヌ・マリーは名前を貴族風にリアーヌ・ド・プージィに改めてはじめの数ヶ月は安宿で身を売って娼婦修行を積み、やがて、金や身分ある男たちの相手をするように

リアーヌは豊満な女性が尊ばれた時代にスリムどほっそりした身体をいつまでも保つという幸運を授かった。

やがてリアーヌはセンスが身に付き、ナポレオン３世の最後の愛人だった有名なクルティザンヌのひとりヴァルテス・ド・ラ・ビーニュに気に入られた。

（リアーヌの師、ヴァルテス・ド・ラ・ビーニュ）

同性愛の傾向もあったリアーヌとヴァルテスは恋人同士となり、ヴァルテスはリアーヌに娼婦業のいろはを教え、半社交界へと迎えた。

しばらくするとリアーヌは師であるヴァルテス・ド・ラ・ビーニュを凌ぐようになる。

リアーヌはもっぱら大貴族や資産家を相手にした。ツタンカーメンの王墓発掘したエジプト学者カーナヴォン卿もリアーヌの客の一人だった。

そして見返りにリアーヌは１０万フランもの見事な真珠を手に入れた

（ツタンカーメン王の墓を発見した資産家カーナヴォン卿）

美貌は、快楽を惜しみなく与える時、多くの扉を開く鍵となり得る。ジャーナリズムの扉も然り。

１８９１年にリアーヌは美と快楽と永遠の若さの化身だった。

リアーヌは半社交界の新聞の社長や編集者とも関係を結んだおかげで（今で言う枕営業）、リアーヌの記事が「ジル・プラス」紙面を埋め尽くすことになる

リアーヌの凄まじい高級志向と浪費は留まるところを知らなかった

 

（日本の着物をきたリアーヌ）

１８９１年４月２３日のゴシップ欄にはリアーヌがマク＝マオン侯爵シャルルを愛人にした。

そしてマク＝マオン侯爵はリアーヌに貢ぎ過ぎて破産。その５年後に彼は死んだ。

（左上が破産したマク＝マオン侯爵他リアーヌが征服した男たち）

そしてリアーヌを独り占めしようとした多くの資産家が破産や自殺へと追いやられることになった。

１８９４年２５歳のリアーヌはフォリ＝ベルジェール劇場の支配人の後援を得て舞台女優としてデビューした。

フォリ＝ベルジェール劇場は当代きっての三美女リアーヌ・ド・プージィ、エミリエンヌ・ダランソン、ラ・ベル・オテロを共演させ話題をさらった。

（左ラ・ベル・オテロ、右エミリエンヌ・ダランソン下シェリの作者コレット）

リアーヌはプレゼントされた宝石類だけで数百フランを超える財産を持ち、「美の女神」としてヨーロッパ中のウィンドーに写真を飾られた。

その後も舞台女優として人気を博し、１８８９年には初の小説「忘れがたき人々」を発表し作家デビューを果たした。

自叙伝的なこの小説は大ベストセラーになり２８歳の女盛りのリアーヌは知性も教養も兼ね備えた

１９世紀の「最高の美女」と褒め称えられた。

マルセル・プルーストやジャン・コクトーはリアーヌに夢中になり、プルーストに至ってはリアーヌをモデルにして小説『失われた時を求めて』を書いた。

リアーヌはいくつになってもほっそりと美しく、本人すら自分が永遠に若く美しいと信じ込んでいた。

１９０２年、リアーヌは３３歳である。

娼婦業を始めて１３年たった。片時も休まず成功を追い求めてきたのは未来の苦しみ、明日への不安から逃れるためだった。落魄れて極貧のうちに悲惨な最期を遂げていく例を嫌と言うほど見てきた。

しかしリアーヌは陰気なもの、苦しみや悲しみを喚起させるものはみな嫌いだった。好きなのは白と青と薔薇色

リアーヌは美容にも非常に気を配っている。リアーヌは激しいショックを受けると肉体が消耗すると考えていた

リアーヌの身長は１６８センチと長身だが足は２４センチと小さく美しかった。

さらにリアーヌはコカインと阿片の乱用者であり、何度も自殺未遂をはかっている。

いつも自殺未遂には阿片チンキを使用していた

その度にゴシップ誌にリアーヌの記事が載る。。

１９１０年リアーヌは４０歳になった。

ルーマニアのプリンス、ギガ大公と春に出会い、手懐けて

６月に１５歳年下のジョルジュ・ギガ大公と結婚し、リアーヌは４１歳で大公妃、本物の貴族のプリンセスとなった。

（ルーマニアのギガ大公ジョルジュ詩人でもあった。）

だがクルティザンヌが年下のプリンスを陥落させて玉の輿に乗ったことを社交界は許容せず連日リアーヌを皮肉る記事が載った。

ひたりはスキャンダルから逃げるためアルジェリアに住んだ。

１９１４年第一次世界大戦が始まった。華やかなベル・エポックは終わったのだ。

第一次世界大戦の始まりと共に多くの貴族が没落していった。

それと共に華やかなクルティザンヌの世界は消えた。

さらにリアーヌが捨てた一人息子は戦死した。

（リアーヌとギガ大公）

そして次第にギガ大公夫妻は別居するようになった。リアーヌは自分が生きる屍だと考えた

夫であるジョルジュ・ギガ大公が死ぬとリアーヌは修道院に入り、シスター・アンヌ＝マリー・ド・ラ・ペニタンスとなった。

改悛のアンヌ＝マリーという意味だ。

リアーヌのライバルだったクルティザンヌ、ラ・ベル・オテロは９０歳まで生きたが博打に全財産をつぎ込み、晩年は無一文になった。

さらにエミリエンヌ・ダランソンに至っては麻薬中毒となり貧困のうちに死んだ

１９５０年８１歳で世を去るまでリアーヌは敬虔なキリスト教徒として生きたのでる。

「フランスの宝」と称えられたリアーヌはまことに気品に満ちた、天使のように美しく優雅な女性だった。

リアーヌはパリにいる８万人にのぼる娼婦たちの頂点でまばゆく輝く希望の光だった。

（リアーヌの墓）

ベルエポックの美人女優 セシル・ソレル

June 18, 2018, 9:10 pm

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ーベルエポック、美しき良き時代

セシル・ソレルは自分の美貌を活かして自分の運命を切り開き、人生を楽しみました。 

セシルはパリのアイドルであり、また演劇の女王としてセシルは豪華なドレスに身を包み、最高位の人々と交流するまでに出席しました。

セシルの交友関係は華やかでその中にはロシア皇帝ニコラス２世、ドイツ皇帝、プリンス・オブ・ウェールズ、クレマンソーにムッソリーニ、さらにマラケシュの太守（パシャ）にまでいました。

セシル・ソレルは１８７３年９月１７日にセリーヌ・エミリー・サーとしてパリに誕生日しました

セシルは女優を目指しており、モリエールの劇が得意なセシルは１８９９年にはオデオン座に、１９０３年に名目コメディ・フランセーズに入学しました。 

（名門コメディ・フランセーズ）

そして１９３３年まで３２年間コメディ・フランセーズのメンバーであり続けました

さらにセシルはコケットの役割を見事に演じる才能がありました。

セシルは裕福なホイットニー・ウォーレンと婚約していましたが結局はセギュール伯爵夫人のひ孫だが平凡な俳優ギョーム・ド・サックスと１９２６年に結婚しました 

この新婚カップルは美女と野獣と嘲笑されましたが、セシルは〝セギュール伯爵夫人〟のタイトルを得、死ぬまで伯爵夫人のタイトルを保持しました

セシルは非常に野心的な女性でした。

セギュール伯爵夫人となったセシルは宮殿ていっていいほどの豪華なコンチネンタルホテルのスィートを１年間借りたり豪華な生活を楽しみむした

第二次世界大戦後の１９４５年１１月６日セシルの夫は亡くなりました

１９５０年代に入るとアッシジの聖フランチェスコ会に入会しイエス・キリストの聖なる従順な姉妹〝スール・セシル〟として聖書や信仰に専念しました。

大女優セシル・ソレルは１９６６年トゥールヴィルの城で大腿骨頸部骨折をしてしまい、９２歳と高齢で死去しました。

（ベルエポックの三美神、リアーヌ・ド・プージィ・エミリエンヌ・ダランソンクレオ・ド・メロードとともに社交界の花でした）

（２０年代？のセシル）

（セシルのお墓）

エミリー姫の呪い伝説

June 30, 2018, 6:35 pm

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スコットランドにあるダンスタフニッツ城。

この城には５００年前から続く「呪い」があるという。

 

 

 

今から５００年以上前、ダグラス伯爵一族は幸せの絶頂にいました。

 

 

ウィリアム・ダグラス伯爵のひとり娘、１８歳の伯爵令嬢エミリーは大変美しい女性でした。

 

 

 

 

 

 

 

美しいエミリーは若きスコットランド王ジェームズ２世から見初められ王妃になることが決まったからであった

 

 

すでにエミリーは王との間に３人の女の子を産んでいた

 

 

 

 

ジェームズ２世は６歳で父王が暗殺された悲劇の王だった

１８歳まで母親がスコットランドを統治しておりなかなか自身で統治できませんでした

 

エミリーは「国一番の美女エミリー」、「国王の想い人」と賞賛されていた。

 

 

 

 

しかしエディンバラ城き移って子供たちとともに楽しい生活を夢みていたエミリーとダグラス一族の知らないところで恐ろしい陰謀が練られていた。

 

 

 

スコットランドの名家、クリットン公爵は自分の娘スザンナを何とかスコットランドの王妃にしたいと考えていたためエミリーを憎んでいた

 

 

 

 

 

クリットン公爵は娘のため、エミリーが産んだ子供は不吉な子だとか、王の子供ではないとなど悪質な噂を流した。

 

 

 

 

 

 

 

クリットン公爵の勢いに押されてジェームズ２世はエミリーとの結婚を破棄し、クリットン公爵の娘スザンナと結婚した

 

 

 

しかし美貌のエミリーに未練があった国王はクリットン公爵の反対を押し切って養女としてエミリーを迎えると宣言した。

 

王妃でなくても王女としてエミリーをエジンバラに住まわせようとしたのだ。

 

 

 

 

 

自分の娘をジェームズ２世に嫁がせることにより権力の拡大を計ろうとしていたクリットン公爵にとって王のこの希望はとうとい許せることではなかった 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこでクリットン公爵は再び悪謀を巡ら世ダグラス一族をひそかにエジンバラ城に呼びだし兵を使ってだまし討ちし皆殺しした。

 

 

 

 

 

しかしこの中に肝心のエミリー姫と３人の子供はいなかった

 

 

 

 

実はエミリー姫はダンスタフニッツ城にいたのだ。

 

 

焦ったクリットン公爵は一族の若い貴族と兵をダンスタフニッツ城に送りエミリー姫を襲わせた。

 

 

 

兵士や貴族たちは泣き叫ぶ子供の前でエミリー姫をレイプし、子供たちを燃えさかる暖炉の中に放り込んだ。

 

 

その上でエミリーを殺すという考えられない酷いことをしたのである。

 

 

 

国王の血を引くエミリー姫の子供たちは後々の禍根になるからだった。

 

エミリー姫は自分が死んでからもクリットン家を永遠に呪ってやると叫んで死んでいった。

 

 

 

 

それから数年後、ダグラス家の人間を皆殺しにした兵士たちがつぎつぎと原因不明の奇病で急死する。

 

 

 

 

 

またクリットン公爵ばかりかその娘である王妃も事故死した

 

 

クリットン公爵は兵士の折れた剣が飛んできて首にささったという。

 

 

 

 

 

発狂したジェームズ２世はロクスバラ城の包囲戦のさなかに大砲の暴発によりわずか３０歳で命を落とした。

 

 

 

 

 

しかしエミリー姫の呪いはまだ終わらなかった。    

 

 

 

 

 

１９３８年ウォルター・クリットンは結婚式前日に行方不明になりやがて無残な死体がダンスタフニッツ城の地下の暖炉で発見された。

 

 

 

 

 

 

 

また１９７６年己がクリットン家の末裔と知らずダンスタフニッツ城に泊まったアメリカ人旅行者父子も焼死した。

 

 

 

 

 

 

 

 

あくまでエミリー姫の呪いは伝説であり、ダグラス伯爵を刺殺したのは事実だが実際の王妃は外国人のメアリー・オブ・グエルダースである

 

 

 

 

 

 

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貧しい少女がオペラ座の怪人のヒロインのモデルに クリスティーナ・ニルソン

July 15, 2018, 3:51 am

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スウェーデン人のクリスティーナ・ニルソンは華麗なベルカント  （bel canto）の技術を持ち、ヴィクトリア朝時代の最も有名な歌手、アデリーナ・パッティのライバルだった。

 

 

 

 

 

アデリーナ・パッティはヨーロッパとアメリカの音楽の中心として活動し、巨万の富を築いた人物である。

 

 

さらにクリスティーナは１８６９年スウェーデン王立アカデミーのメンバーにもなった。

 

 

 

 

 

ガストル・ルールー作オペラ座の怪人のヒロイン、クリスティーヌ・ダーエのモデルであり、トルストイのアンナ・カレーニナにも影響を与えました。

 

 

 

 

 

クリスティーナは１８４３年８月２０日、スウェーデンの農家のジョナス・ニルソンの６人兄弟の末っ子として生まれました

 

 

 

 

 

 

 

１８５７年クリスティーナの才能が見出され専門の教育を受けて１８５９年５月１９日１５歳でデビューしました

 

 

 

 

 

 

クリスティーナはジュゼッペ・ヴェルディのオペラ、「椿姫」のヴィオレッタ役でパリのテアトル・リリック座でフランス、デビューを果たしました

 

 

 

 

 

（椿姫ことマリー・デュプレシー）

 

 

フランス語で『椿姫』を歌うことは初めてでした

 

 

 

 

 

クリスティーナは大いに批評家から賞賛を受けた。

 

 

 

そしてクリスティーナはナポレオン３世の前で一回、ウィーンの皇帝フランツ・ヨーゼフの前、イギリスのヴィクトリア女王の前で歌うことを許された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスティーナは４５歳でソプラノ歌手としてのキャリアを終了した

 

 

 

クリスティーナは生涯に２度結婚している

 

 

 

一度目はフランスの銀行家オーギュストと結婚し、彼が死ぬとスペイン貴族デ・カサ ミランダ伯爵と結婚し、伯爵夫人として後半生を生き、１９２１年１１月２１日スウェーデンで７８歳の生涯を閉じました

 

 

 

 

 

（クリスティーナをモデルに描かれたもの。

アレクサンドル・カバネル作。

題名パンドラの箱。1873年ボルティモア ウォルターズ美術館。

官能的な作品で知られるカバネルによる１枚。カバネルはその色っぽい作風にも関わらずアカデミズムの権化として１９世紀フランスの画壇を支配した）

（ナポレオン3世お気に入りの画家だった。アレクサンドル・カバネル作  ケラー伯爵夫人 1873年  パリ オルセー美術館）

（見たことがある人も多いのではカバネルの代表作、ヴィーナスの誕生。1863年 パリ  オルセー美術館）

 

 

 

 

 

 

 

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マラーを殺した女

July 20, 2018, 9:13 am

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フランス革命時、ジャコバン派のマラーを殺した女として有名な、シャルロット・コルデー

当時２５歳のシャルロットは、１７９３年にマラーを殺し、ギロチンで処刑され後にその美貌から“暗殺の天使”や“カーンの処女”と言われ、フランス革命のヒロインとなります。

処刑される可憐なシャルロットの姿に恋をしてしまう男性も多かったとか。。

でもシャルロットは本当に天使だったのでしょうか 

マラーを殺すに至るまでのシャルロット不思議な行動がひっかかります



シャルロットは、ノルマンディー地方の貧乏貴族の娘として１７６８年７月２７日に生まれます。

財産こそありませんでしたがシャルロットは、コルネイユ（三大古典詩人）の子孫で、その事を大変誇りにしていたようです 

１３歳で母と死別したシャルロットは修道院に入りました。

（シャルロットのこじんまりした生家）


シャルロットプルタルコスの対比列伝（英雄伝みたいなもの）を愛読する大人しい少女でした

思春期に修道院という閉鎖的な場所で過ごしたシャルロットにとってプルタルコスの英雄伝は、大きな影響を与えたと思われます



プルタルコスの『対比列伝』は、古代ギリシア・ローマの著名人たちを、人となりや言動の似た者で二人一組のセットで書いたもので、シェイクスピアも、『シーザーとクレオパトラ』を書く際に参考にした、と言われるくらい有名な英雄伝でした。

もしかしたら、田舎の貧乏貴族だが、コルネイユの子孫である自尊心の強いシャルロットも、対比列伝に出てくる英雄に自身もなりたいと願ったのかもしれません。。

さらにシャルロットには人を見下す癖がありました

（シャルロット・コルデー 1768〜1793）

修道院を出たシャルロットは叔母のブルトヴィユ夫人のもとに身を寄せました。

ジロンド派とジャコバン派の対立が激しくなるとジャコバン派の議員たちはシャルロットたちが暮らすカーンに逃亡してきました。

その議員の中にはシャルロットにとって運命の男性シャルル・ジャン・マリー・バルバルーがいました。

（シャルル・ジャン・マリー・バルバルー1767〜1794）

シャルロットは若く容姿の美しいバルバルーに惹かれます

２人の関係性ははっきりわかっていません。恋人説などもありましたが、バルバルーがシャルロットのためにパリの友人の議員デュ・ぺレに紹介状を書いてあげたことは事実でした。

しかしこの行為がバルバルーを悲惨な破滅の道へと追いやることになります。。


（シャルロットが殺したマラー）

シャルロットが殺したマラーですが、中流家庭に育ち、革命の指導者として活躍し、新聞『人民の友』を発行し過激な政府攻撃をして下層民から支持されていましたが、シャルロットに暗殺された時、すでに持病の皮膚病が悪化したため、活動不能となり、愛する妻や数人の仲間たちと自宅にこもって１日中入浴して療養していました

 （ジャック＝ルイ・ダヴィッドが有名な『マラーの死』）

シャルロットは、新聞「人民の友」を発行し、民衆の立場からブルジョワ勢力を攻撃した過激な人物でも知られるマラーさえ殺せばフランスに平和と秩序が取り戻せる、と本気で思い込み、はるばるカーンという地方からパリへきます

しかもこれから暗殺しようというときにシャルロットは何故か新しいおしゃれな帽子を買っていました。

（革命期のファッション）

そして１７９３年、マラーの家に若干無理やりに押し入り、入浴中のマラーの心臓を包丁で刺して暗殺を成功させます。

（この時最愛の妻は、シャルロットを家にいれようとしませんでしたが、相手が若い女性であることにマラーは油断します）




しかし、暗殺後、現場で画家ジャック＝ルイ・ダヴィッドが有名な『マラーの死』を描きました。

ジャコバン派の盟友マアン・ロベスピエールによってはマラーを「革命の殉教者」神格化することでジロンド派（穏健な派閥で中流ブルジョワの味方で、これ以上残虐行為を好まない派閥でした）の支持を奪い、さらにジャコバン派内部でのロベスピエールのリーダーシップを不動のものとした。

（生き絶えたマラーとシャルロット）


ロベスピエールが、ルイ１６世やマリー・アントワネットをギロチン台へと送ったことを考えれば、シャルロットの行為は本末転倒のように思えます

暗殺直後シャルロットはその場で逮捕されます。

逮捕されたシャルロットの持ち物からバルバルーが書いたあの紹介状やジロンド派の議員の名が多数書かれた文章が発見され、マラー暗殺はジロンド派によるもの、と決定されバルバルーたちは追われる身となります。

バルバルーは自分を匿ってくれた町の人々に迷惑がかかるのを恐れて街を出ます。

しかし行く当てもなく誰からの保護を受けられないバルバルーは追っ手が近づいてくるのに気がつくと拳銃で自殺を図るが失敗

シャルロットの単独行為に関わらず、瀕死のままの状態でバルバルーは逮捕され６月２５日に２７歳の若さでギロチンで処刑されてしまいます。

（ロベスピエール）

（１７９３年１０月に処刑されたフランス王妃、マリー・アントワネット）

しかしマラー暗殺で、ギロチン台へ送られることになったシャルロットですが、裁判で

『１０万人の人々を救うため、１人を殺した』

と自らの正当性を主張し、さらに自分の肖像画を描かせています。しかも画家に注文をあれこれつけた挙句、何回も修正を加えて完成させました

（捕まった後、画家に描かせたシャルロット）

プルタルコスの対比列伝を愛読していた、思い込みの強すぎた乙女シャルロットの人物像は、興味深いです

処刑場へ向かう護送車に同乗したサンソンは、回想録でこう語っている。

「彼女を見つめれば見つめるほどいっそう強く惹きつけられた。それは、たしかに彼女は美しかったが、その美しさのせいではなく、最後の最後までなぜあのように愛らしく毅然としていられるのか信じられなかったからであった。」

優雅なるルクレツィア・ボルシア嬢

July 22, 2018, 5:00 am

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ルネサンスの名花、ヴァチカン一の美女、天女とさえ呼ばれたルクレツィア・ボルシアですが実際にはどのような女性だったのでしょうか？

 

 

 

ルクレツィア・ボルシアは生涯に３回結婚しますが、３回目の結婚でフェラーラ公国の公妃となります。

 

 

 

（ルクレツィアの嫁いだフェラーラ公国。）

ルクレツィアはかなりの浪費家だったらしく、ルクレツィアのフェラーラでの宮廷維持費は莫大で舅から嫌な顔をされたりしています

 

 

 

またルクレツィアは、フェラーラ公国の住人になろうというよりはあくまでスペイン人であった。

 

ルクレツィアの侍女たちは全員スペイン人でした。自身がスペイン人であることを誇りに思っていたルクレツィア。

 

 

 

 

 

 

 

しかも連れてきた親戚である美しいまだ１５歳のアンジェラ・ボルシアという侍女をめぐって殺人未遂事件まで起こしてしまいます。

 

 

 

 

アンジェラを巡ってエステ家の兄弟２人が争い、さらにアンジェラは子を宿していたので、ルクレツィアに監督不行き届きを追求されることになってしまいます

 

 

 

 

ルクレツィアの魅力については、

“ルクレツィアは自らのあざやかな個性によって、また彼女の微笑を見た人は、その瞬間、彼女と自分だけが交流しているような無邪気な錯覚を抱いてしまう。”

 

 

とあります。

 

さらにルクレツィアを取り巻くさまざまな噂が一層ルクレツィアを謎めいた蠱惑的な存在にしました。

 

 

処女にも見紛う甘く可憐な容姿にもかかわらず、弟を殺した兄をもち口にはできないようなセックススキャンダルの数々にも関わっていたとされるルクレツィア。

 

 

しかしそれでも彼女は善良で無邪気な雰囲気を持っていたそうです。

 

 

 

ルクレツィアにまつわる噂で最も有名なものが兄、チェーザレとの近親相姦の関係でしょう。

この噂は当時から既に流布しており、ローマ中の人々が噂していました

 

 

ドラマ、ボルジア家では２人は〝近親相姦の関係にあった″  と描かれていますが、史実ではチェーザレは１０代のうちから娼館に出入りしており梅毒に罹っていたそうです

 

 

２人が近親相姦の関係にあればルクレツィアも梅毒に罹っているはず。

しかしルクレツィアは生涯そのような病気とは無縁であった。故に近親相姦の関係はなかった、との意見が多いそうです。 

 

 

 

しかしいずれにせよ近親相姦を疑われるほどチェーザレとルクレツィアの仲が非常に良かったのは間違いないので真相はわかりません。

 

ルクレツィアは、宝石が大好きで特にネックレスが好きだったようです

 

真珠を非常に好み、エメラルド、ルビー、ダイヤなどが頭の中心にくるルネサンスの流行のヘアバンドを持っていました

ピントリッキオの絵にも額に宝石をつけています。

 

 

 

 

 

 

さらにルクレツィアの衣装はヨーロッパのファッションに大きな影響を与えていた。

 

 

 

ルクレツィアはスペイン人らしく明るい気性だったと言われ、活力にあふれ、絶えず笑いさざめいている、生きることが楽しくてしょうがない、というような性質を持っていた。

 

ルクレツィアの人生は、彼女の死後も生前と同じように多くの男たちの興味を引き、ヴィクトル・ユーゴーやアレクサンドル・デュマがルクレツィア・ボルシアというタイトルで作品を残しています。
 

幼いころから臈たけた美少女で父と兄２人の愛を独占し、白い蝋燭のような肌の下には呪われたような黒い血がながれている彼女の容姿は、1番上のピントリッキオの絵に残されていますが、従順な感じがします。
 

（ルクレツィアの兄、チェーザレ）

 

ルクレツィアは３９歳で女児を早産したことが原因で死にます。

 

 

ルクレツィアは何日も苦しんだあげく、ひどい頭痛のため絶えず大切にしていた自慢の〝たわわなる金髪″ を切り、高熱に苦しみながら息絶えた。

 

 

（ルクレツィアの遺髪）
 

 

果たしてルクレツィアが1番愛した人は一体誰だっのでしょうか？

夫たちだったのか、つかの間の恋人たちだったのか？

 

 

それとも兄、チェーザレだったのか？

 

 

チェーザレも少年時代から、ルクレツィアについて異常なほど嫉妬深く執着し愛していました。

 

 

それはルクレツィアと関係した男は必ずチェーザレに殺されるという噂がたったほど。

 

 

事実、ルクレツィアの17歳の時の恋人ペドロ、2番目の夫アルフォンソ王子はチェーザレによって殺されたようです。

 

抵抗できない魅力を持ち黒を好んだ征服者である兄、チェーザレだったのでしょうか？

 

 

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天才たちの恋人 アルマ・マーラー

July 27, 2018, 2:04 am

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（アルマ・マリア・マーラー＝ヴェルフェル1879〜1964）

あらゆる芸術家たちの絶対的な女神であり、すべての芸術家を征服した女性、アルマ・マーラー。

アルマは、、音楽なら夫、マーラー、文学ならヴェルフェル、建築ならグロピウス、美術ならば、クリムト、ココシュカと、一流の芸術家たちのインスピレーションの源であり、同時に彼らから愛された稀有な存在でした

華麗な男性遍歴から妖婦とも言われたアルマは、１８７６年ウィーンの裕福な家庭に生まれ、父親は宮廷画家エミール・ヤーコプ・シンドラー

少女時代から一流の芸術家たちに囲まれて育ち、絵画、文学、作曲に才能を発揮し、また父親に溺愛された娘でした

アルマは召使いたちにかしずかれ、何不自由なく育ちました。

１３歳の時に父親は病死しますがアルマの母はすぐに夫の弟子であった画家カール・モルと再婚した。

アルマの恵まれた暮らしは変わらなかった。有名な芸術家たちが屋敷に絶えず出入りしており、利発な美少女アルマを競って可愛がった。

彼らはアルマにその時代で求めうる最高の芸術を見せてくれた。

アルマは当代随一の芸術と芸術家たちに囲まれ、彼から蝶よ花よともてはやされて育った

少女時代のアルマに望んで手に入らないものなどありませんでした。

年頃になると自信に満ちあふれた美しいアルマは世紀末のウィーンの社交界の華となっていました。

アルマは『ウィーンで最も美しい娘』と呼ばれていました。

（アルマの父親。アルマを大変溺愛しました後の彼女の性格形成に大きな影響を与えました。）

ちなみにアルマのファーストキスの相手はクリムトだと言われています



２１歳のアルマは、作曲家グスタフ・マーラーと出会います。

すでに多くの芸術家を虜にしていたので、アルマは周りの男たちと違い自分をちやほやしないところに惹かれ２人は結婚します





（最初の夫、グスタフ・マーラー）

しかし結婚生活は失敗しました。自ら作曲もこなしていたアルマですが結婚後は禁じられ、だんだんと窮屈に感じ始めました。。

１９１１年、夫マーラーが持病で死にます。

アルマはまだ３１歳の美しい未亡人

美しい未亡人は、画家のオスカー・ココシュカと恋愛関係になります。





（ココシュカの代表作といってもいい作品、「風の花嫁」）



この「風の花嫁」という作品は、ココシュカ自身とアルマという女性を描いたものです

はじめこの作品は、もっと明るい色をしていたと言われています。

魅力的な女性、アルマと出会ったころに描きはじめました。

しかしアルマはココシュカの知らないところでこっそりとグロピウスという建築家と会っていました




（二番目の夫、グロピウス）



そんな時アルマは妊娠します。その子は流産したとも中絶したとも言われています。



そして関係が悪化していくにつれ、この絵はどんどん暗く描かれていきました。



（オーストリアを代表する画家の一人であるココシュカ）

ココシュカはこの「風の花嫁」完成後、第一次世界大戦に参戦します。

頭と胸に傷をおって戦争から帰ってきたココシュカに衝撃の事実が。。

なんと当のアルマは３６歳で二股の相手グロピウス結婚し、女児マノンを産んでいました







ココシュカは、いまだアルマのことが忘れられず、ぞっとするような異常な行動を取り始めます…

アルマにそっくりな人形をつくらせ、外食をするときも映画を見るときも、常に連れて歩きまわっていたらしく、代金も二人分払っていました

怖い…


（美少女で優しい性格だったグロピウスとの子供マノンは１８歳で早世してしまいました）

マノンを産んで一年後アルマは、今度は劇作家のヴェルフェルと関係をもち、妊娠

またもやどっちの子供かわからなかったのですが生まれた子供は未熟児ですぐ亡くなってしまいます

グロピウスと離婚したアルマは、１９２９年 ヴェルフェルと４９歳で３度目の結婚をします。

その後アルマは音楽サロンを主催するなどして８５歳で生涯を終えます。

（晩年のアルマ・マーラー）



アルマは、その８５年の生涯で、作曲し、いくつになってもやりたいことをし、自分への絶対の自信で自ら光輝くことを知っていた女性でした。

アルマが多くの一流の芸術家たちから愛された理由の一つに、美しいだけでなく彼女の芸術への審美眼の高さが挙げられます。

またアルマは一流の芸術家たちを〝音楽の神様”と評し、〝音楽の神様たちと遊ぶ”ことを最期まで大切にしていまた。

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稀代の悪女？それとも売り飛ばされた哀れな女？ 潘金蓮

July 28, 2018, 8:57 pm

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歴史の教科書に出てきた水滸伝という小説に、潘金蓮という女性がでてくるのですが、この潘金蓮にスポットライトを当てた小説が、悪書、明代の長編小説で四大奇書の一つ、『金瓶梅』という小説です。

作者は笑笑生。好色小説だったので戦前は出版されませんでした

（纏足用の靴。自分で刺繍したり女性にとって纏足した足は特別なものでした）

金蓮という名前ですが、当時の女性は皆纏足をしており、約１０センチにも満たない纏足は〝三寸金蓮”とよばれ、足が小さければ小さいほど美人であると言われました

潘金蓮は、貧しい裁縫師の娘で、はやくに父親を亡くしてしまいますが、幼女の頃から町の人々の話題にのぼるほどの美貌でしたが９歳の時に売り飛ばされます

金蓮は小金持ちの家の召使いをしていましたが、その老当主が、金蓮の美貌に目をつけ、無理矢理手篭めにしようとします。





それを老奥様にいったところ、凄まじい嫉妬を買い、またまた無理矢理、貧しい餅売りの武大に嫁がされてしまいます

武大は、とりえもなく、異常に背が低く、県内で最も醜い男性でしたので、奥様からの嫌がらせ以外の何ものでもありませんでした。。

そんな時、武大の弟、武松が家にやってきます。

武松は武大とは大違いの美男子で背が高く、腕もたったので、金蓮は一目惚れし言い寄りますが、堅物である武松は兄嫁である金蓮には興味を持ちませんでした

美しさを持て余していた金蓮ですが、２７歳頃転機が訪れます。

ある日たまたま家の前を通りかかったのは、県内一のお金持ち、薬問屋西門家の若き当主でした

雨が降ってき、窓をしめようとした時竿を落としてしまいます。その竿が西門 慶に当たってしまいます。

2人はそれから恋人同士となりますが、関係に夫、武大が気がつき、金蓮は夫がいる限り幸せにはなれない。自分は西門家に嫁ぎ玉の輿にのりたい。

でも夫は何があっても私を手放さない。

せっかく人より美しく生まれたのに、蒸し持ち屋の女房で終わりたくない！！

運命を自分で決めたい。夫がいなくなれば女として恵まれた一生が待っていると思い、

西門からもらった砒素で夫を毒殺し、西門家の第五夫人として嫁ぎます。







当時は正妻と多くの側室を持つのはお金持ちには普通のことでした。

西門家では、正妻・呉 月娘をはじめ、金蓮の他に４人の夫人がいます。

さらに好色な西門 慶は召使いやら人妻やら廓の妓女を相手に読んでるこちらがびっくりするほど飽かずお楽しみ。

奔放に男女の愛欲を楽しんでいました

西門家で金蓮は自分だけの房をもらい、小間使いを付けてもらい、持って生まれた美貌と色香で、数ある妻たちの中でも最も寵愛を受け贅沢三昧、やりたい放題の日々を過ごしていました

この世の色事と快楽のすべてを貪りつくす金蓮と西門 慶。

しかし、正妻をはじめ、他の夫人たちも名家の出で、財産を持ってお嫁入りしていましたので、金蓮は髪飾りがほしいなど、欲しいものがあれば、旦那様の寵愛だけが頼りでした

屋敷内でもトラブルメーカーだった金蓮は、旦那様の寵愛を独占するため媚薬を使いすぎてしい、西門 慶は死んでしまいます

そして正妻の怒りを買っていた金蓮はまたもや、人買いに売り飛ばされます。



しかし買いにきたのは、なんと殺した夫武大の弟で金蓮が一目惚れした武松でした。

婚礼の赤い衣装をきた妖艶な美しさに輝き金蓮は、

『やっぱり私は武松と結ばれる運命にあったのね』と

胸をわくわくさせますが、実は武松は兄を毒殺したのは金蓮だと知っており、婚礼だと油断させて、兄の敵討ちを行い金蓮は殺されてしまいます

潘金蓮は、最悪の悪女に違いありませんが（毒殺しているので殺人犯？）、最後に

〝武松と結ばれたかった″というのも、同じ女性としてなんだか切ない気持ちになります

絶世の美女の誇りから蒸し餅家の女房で終わりたくなかった金蓮は、失うものはないとばかりに夫を毒殺し、大富豪の夫人の1人となりますが、結局は因果応報殺害されました。

潘金蓮について⭐︎

『水滸伝』では、炊餅（蒸し饅頭）売り・武大の妻として登場。絶世の美女だが性欲・物欲・向上心が強く、夫を殺して情夫との淫蕩にふける典型的な悪女・淫婦である。 

『金瓶梅』では副主人公として描かれ、彼女の名の頭文字が作品の題名の一文字目として使われている。

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